
電気工事士の給料明細、実際のところどうなっているのか。手取り額・社会保険料の引かれ方・各種手当の内訳を、現役電気工事士が具体的な数字で公開します。
電気工事士の給料明細(実例)を公開
まず、実際の給料明細の数字を見てください。
以下は2026年現在、大阪府内の中堅電気工事会社に勤める第二種電気工事士・経験5年目・32歳の給料明細です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 【支給】 | |
| 基本給 | 220,000円 |
| 資格手当(第二種) | 10,000円 |
| 現場手当 | 20,000円 |
| 通勤手当 | 15,000円 |
| 時間外手当(30時間分) | 41,250円 |
| 総支給額 | 306,250円 |
| 【控除】 | |
| 健康保険料 | 15,240円 |
| 厚生年金保険料 | 27,450円 |
| 雇用保険料 | 1,837円 |
| 所得税 | 8,560円 |
| 住民税 | 14,000円 |
| 手取り額 | 239,163円 |
総支給306,250円に対して、手取りは239,163円です。
控除の合計は67,087円。総支給の約22%が引かれる計算です。
社会保険料の内訳と計算方法
💼 転職サポート
健康保険料:月15,240円
健康保険料は標準報酬月額をもとに計算します。
総支給306,250円の場合、標準報酬月額は300,000円に区分されます。
2026年度の協会けんぽ(大阪府)の料率は10.16%。
会社と折半なので、本人負担は5.08%。
300,000円×5.08%=15,240円です。
厚生年金保険料:月27,450円
厚生年金の料率は18.3%で固定です。
会社と折半なので、本人負担は9.15%。
300,000円×9.15%=27,450円です。
厚生年金は将来の年金受給額に直結します。
健康保険+厚生年金だけで月42,690円の負担です。
雇用保険料:月1,837円
雇用保険の本人負担率は総支給額の0.6%です。
306,250円×0.6%=1,837円です。
失業給付や育児休業給付に充てられます。
社会保険料の詳細は電気技術者試験センター(公式)での資格取得状況と合わせて、転職時の待遇確認に活用してください。
電気工事士の各種手当の内訳
資格手当:5,000円〜30,000円
資格の種類によって手当の金額が大きく変わります。
| 資格名 | 手当の相場(月額) |
|---|---|
| 第二種電気工事士 | 5,000円〜10,000円 |
| 第一種電気工事士 | 10,000円〜20,000円 |
| 電気工事施工管理技士2級 | 10,000円〜15,000円 |
| 電気工事施工管理技士1級 | 20,000円〜30,000円 |
資格手当の交渉術や相場の詳細は、電気工事士の資格手当はいくら?相場と資格手当アップの交渉術で詳しく解説しています。
現場手当:10,000円〜30,000円
現場手当は会社によって名称が異なります。
「危険作業手当」「施工手当」と呼ぶ会社もあります。
現場の規模や危険度によって金額が変動します。
高圧作業を含む現場では月25,000〜30,000円のケースもあります。
夜勤・深夜手当:基本給の25〜50%増
深夜22時〜翌5時の作業は法律上25%割増が最低ラインです。
夜間工事が多い会社では、月の手取りが3〜5万円変わります。
夜勤手当の詳細は電気工事士の夜勤・深夜手当の相場|現場ごとの働き方を比較を参照してください。
時間外手当:残業30時間で41,250円
基本給220,000円の場合、時間単価は以下の計算です。
220,000円÷160時間(月の所定労働時間)=1,375円
残業割増1.25倍で時給1,718円。
30時間残業すると41,250円の残業代になります。
みなし残業制度を採用している会社も多いため要確認です。
経験年数・資格別の手取り額比較
| 経験年数・資格 | 総支給額 | 手取り額 |
|---|---|---|
| 未経験・1年目 | 220,000円 | 175,000円 |
| 第二種取得・3年目 | 270,000円 | 215,000円 |
| 第一種取得・5年目 | 320,000円 | 250,000円 |
| 施工管理技士2級・8年目 | 390,000円 | 300,000円 |
| 施工管理技士1級・12年目 | 480,000円 | 368,000円 |
正社員・派遣・一人親方など雇用形態によっても手取りは大きく変わります。
詳しくは電気工事士の雇用形態|正社員・契約社員・派遣・一人親方の年収比較をご覧ください。
18年の現場経験から見た「給料明細の読み方」
実際に私が現場で18年間見てきた経験から言うと、電気工事士が給料に不満を感じる原因の9割は「手当の存在に気づいていない」ことです。
入社1年目の頃、私自身も基本給220,000円だけを見て「安い」と思っていました。
しかし細かく明細を確認すると、現場手当・資格手当・通勤手当を合わせて月45,000円の上乗せがあったのです。
年換算で54万円の差があることに初めて気づきました。
逆に注意すべきパターンもあります。
「みなし残業40時間込み」という求人は要注意です。
私が以前在籍した会社では、みなし残業分を差し引くと実質時給が900円を下回っていました。
求人票の総支給額だけで比較するのは危険です。
転職を検討する際は、電気工事士の転職にエージェントは使うべき?メリットと選び方で給料交渉のポイントも確認しておくと良いでしょう。
手取りを増やす3つの具体的な方法
方法①:第一種電気工事士を取得する
第二種から第一種に上がると資格手当が月5,000〜10,000円増えます。
年間で60,000〜120,000円の差です。
受験資格は第二種取得後3年の実務経験です。
18年の経験から言うと、第一種取得が手取り増加の最速ルートです。
方法②:施工管理技士の資格を取得する
電気工事施工管理技士1級を取得すると、月収が平均8万円上がります。
現場作業から管理職へのキャリアシフトも可能です。
キャリアアップの詳細は電気工事士のキャリアアップ方法|現場職人から施工管理・独立までで解説しています。
方法③:フリーランス・一人親方として独立する
独立すると社会保険の負担構造が変わります。
会社員時代に会社が半分負担していた分も自己負担になります。
しかし案件単価が上がれば年収500〜800万円も現実的です。
独立後の収入事情はフリーランス電気工事士の収入事情|独立後に月収を上げる仕事の取り方で詳しく解説しています。
給料明細でチェックすべき3つのポイント
チェック①:残業代が正しく計算されているか
タイムカードの記録と残業代の金額を照合してください。
時間外労働1時間あたりの単価を自分で計算します。
基本給÷所定労働時間×1.25が正しい単価です。
単価が合わない場合は会社に確認を求める権利があります。
チェック②:雇用保険・社会保険の加入有無
週20時間以上勤務なら雇用保険の加入が義務です。
社会保険未加入の会社は要注意です。
将来の年金受給額や傷病給付に直結します。
求職時は厚生労働省 ハローワークで事業所の加入状況を確認できます。
チェック③:通勤手当の非課税限度額
通勤手当には非課税限度額があります。
電車・バス利用なら月150,000円まで非課税です。
マイカー通勤の場合は距離に応じて2,000〜31,600円まで非課税です。
限度額を超えると課税対象になる点を確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 電気工事士の手取り額は総支給のどれくらいですか?
A. 総支給額の75〜80%が目安です。総支給300,000円なら手取りは225,000〜240,000円程度です。健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税・住民税の合計で約20〜25%が控除されます。
Q. 電気工事士の資格手当はいくらもらえますか?
A. 第二種電気工事士で月5,000〜10,000円、第一種電気工事士で月10,000〜20,000円が相場です。電気工事施工管理技士1級を取得すると月20,000〜30,000円の手当が付く会社もあります。会社によって大きく異なるため、面接時に必ず確認することをお勧めします。
Q. みなし残業制の会社は避けた方がよいですか?
A. みなし残業制自体は違法ではありませんが、みなし時間数と実際の残業時間を必ず比較してください。みなし40時間込みで月給280,000円の場合、みなし分を差し引いた基本給は約237,000円です。実際の残業がみなし時間を超えた場合、超過分の残業代支払いが義務となります。
Q. 電気工事士の給料は年齢とともにどのくらい上がりますか?
A. 一般的には経験3〜5年で月収が約3〜5万円増えます。第一種電気工事士を取得し、施工管理業務にシフトすると30代後半で月収40〜50万円も狙えます。資格取得と現場経験の積み重ねが昇給の最短ルートです。
Q. 社会保険未加入の会社で働くデメリットは何ですか?
A. 傷病時の傷病手当金が受け取れません。また将来の厚生年金受給額が大幅に少なくなります。雇用保険未加入の場合は失業給付も受け取れません。短期的には手取りが増えるように見えても、長期的なリスクが非常に大きいため、社会保険完備の会社を選ぶことを強く推奨します。
✍️ 著者プロフィール
電気工事士歴18年。大阪を中心に年間200件以上の電気工事を担当。第一種電気工事士・認定電気工事従事者の資格保有。現場で得た実体験をもとに、電気工事に関する情報を発信しています。
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